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水牡丹(鼓月)

「水牡丹(みずぼたん)」錦玉製:鼓月 

白餡を芯にして、外側に薄紅色に染めた錦玉をかけて絞り固め、絞り目の自然の乱れを牡丹の花弁に見立てたお菓子です。 

 

夏になると、水まんじゅう、水大福、水ういろう、水楓、水蛍など、頭に「水」がついた、いかにも涼しげな名前の和菓子が続々と登場します。 

 

そのほとんどは葛や錦玉などの透明感のある素材を使って作られたお菓子です。 

 

水シリーズでこの時期人気なのが、「水牡丹」です。本来、牡丹は4〜5月の花ですが、その見事な美しさを涼やかに夏向きに表現したものが、このお菓子です。 

 

定番の意匠は、白小豆の漉し餡を淡紅色に染め、それを葛で包み込んだ非常にシンプルなものです。半透明な葛の生地ごしに中の紅餡が透けて見え、なんとも清々しい牡丹の姿になります。 

 

さて、鼓月さんの水牡丹は、葛ではなく、より透明度の高い錦玉を使っています。中の餡は白餡のままで、周りの錦玉の方を薄紅色に染めているのが特徴です。 

 

無色透明の錦玉もいいですが、赤や青などの色をつけると、ルビーやサファイアのような華やかな宝石の輝きになり、素朴な葛と比べて、より洗練された佇まいになります。 

 

見た目を楽しみながら、ひんやりとした夏の涼菓を味わう優雅なお茶席にピッタリのお菓子ですね。