「富貴（ふうき）」薯蕷製：鶴屋八幡
紅色に染めた薯蕷で餡を包み牡丹の花の形に蒸し上げ、花芯に見立てた黄色いみじん粉を散らしています。
牡丹を上生で表現するときに、圧倒的に煉切製が多く、薯蕷製のものは珍しいですね。鮮やかな花芯の黄色が印象的です。
牡丹は、「富貴草（ふうきぐさ）」「富貴花（ふうきばな）」「百花王（ひゃっかおう）」「花王（かおう）」「花神（かしん）」「天香国色（てんこうこくしょく）」「名取草（なとりぐさ）」「深見草（ふかみぐさ）」「二十日草（廿日草）（はつかぐさ）」「忘れ草（わすれぐさ）」など、たくさんの別名があります。
このうち、「富貴」とは、富んでいて貴い、つまり財産があって身分が高いといわれる花です。
その名の通り、見るからにゴージャスで、贅沢な花ですが、このお菓子はどちらかというと、外見的な華やかさよりも、内面的な美しさを控えめに表現しているようです。