四季折々の主題に対して、毎年、同じ意匠のお菓子を大切に守り続けて出す和菓子屋さんがある一方で、毎年、新作の意匠を出してくる意欲的な和菓子屋さんがあります。
成城風月堂さんは後者ですが、今日は「藤」をテーマに、昨年と今年の意匠の違いを鑑賞してみましょう。
「藤(ふじ)」煉切製:成城風月堂 (2015年)
紫と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、三角べらや指を使って藤の房をかたどったお菓子です。
「藤棚(ふじだな)」煉切製:成城風月堂 (2016年)
紫と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、千筋をつけ、三角べらや箸を使って藤の房をかたどったお菓子です。
藤はみやびやかで気品のある花。蔓が伸びて木々や棚を這い、長い花房に薄紫の花を次々に咲かせます。
木々の緑が濃くなる初夏、藤棚の花房がそよ風に揺れるさまは、春から夏へと移りゆく季節の風物詩ですね。