初がつお(はつがつお)

「初がつお(はつがつお)」煉切製:栗山 

水色に染めた煉切生地の表面に千筋をつけ、巻くように餡を包み、金箔を添えています。 

 

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」という有名な句があります。 

 

江戸の俳人・山口素堂の作で、目にも鮮やかな「青葉」、鳴き声の美しい「ほととぎす」、食べておいしい「初鰹」と、春から夏にかけ、江戸の人々が最も好んだものを俳句に詠んでいます。 

 

日本の食文化は、季節感を大切にしているので、特に江戸時代は初物を食べ、いち早く季節のものを味わうことは粋とされていたのです。

 

当時は、鎌倉沖で取れた鰹を早馬、早飛脚で生きたまま江戸まで運んだといいます。 

 

それだけに値段も高く、「まな板に 小判一枚 初鰹」(宝井其角)と謳われるほどでしたが、初物を食えば七十五日長生きできるといって、江戸っ子たちは競ってこれを求めたそうです。

 

このお菓子は、水色で海の色を、千筋で波を表し、金箔は小判一枚に相当する貴重な初鰹を表現しているのでしょう。