「紫雲英(げんげ)」薯蕷製:豊島屋
緑色に染めた薯蕷生地で紫餡を巻き、棹物に作り輪切りにしたお菓子です。
れんげ草が田んぼ一面に咲き満ちた様子は、日本の農村の春の原風景ですね。
花の形が蓮の花に似ていることから「蓮華草(れんげそう)」と名付けられました。
また、一面に咲いた様子が紫雲がたなびくように見えることから「紫雲英(げんげ)」とも呼ばれます。
このお菓子は、れんげ畑を遠くから眺めた時に、緑色の背景の中に紅紫色の花色が、横に薄く長く引くような形でただよう雲のように見える様子を抽象的に表現したものです。
昔は刈り取りの終わった稲田でれんげ草を栽培し、 牧草にしたり、地中に鋤き込んで緑肥にしたりしていました。
その後、化学肥料の普及とともにだんだん見られなくなってしまったのはほんとうに残念ですね。
子供のころ、よくれんげ草を摘んで遊んだ光景がこの時期になると時折思い出されます。
そんな遠い思い出が、渦巻く二色の色彩となってよみがえってくるようです。