「山吹(やまぶき)」求肥・小倉製:田園調布あけぼの
求肥を中心にして、その周りを囲うように小豆つぶ餡で包み、さらにその上に、煉切製の黄色の花と緑の葉を添え、山吹を写したお菓子です。
昔は、梅が咲くと春が始まり、山吹が咲くと終わるといわれていたように、他の春の花が咲き終わる4〜5月ごろに、最後に花を咲かせます。
しなやかで長い枝に黄金色の花が多数つき、若緑の新葉とのコントラストが鮮やかな山吹ですが、その風情は万葉集以来、詩歌に詠まれてきました。
一重と八重がありますが、このお菓子では一重の五弁花を描いています。細い枝がしなるほど多くの花が群れるように咲くのが特徴ですが、一輪のみにスポットを当てて表現しているのが珍しいですね。
湿った場所や水辺を好む花で、渓流や清流沿いの風景によく合うためか、求肥と小倉餡の形が川のように見えます。