「霞(かすみ)」羊羹製:そえ田
羊羹を台にして、その上に黄身餡をのせ、さらにその上に薄紅色に染めた山型の羊羹を配したお菓子です。
薄紅色にけむって見える春の遠山に、黄色い野の花が彩を添えている、そんな風景が目に浮かびます。
桜前線もようやく北海道に達し、現在、青森県や道南地方がちょうど見頃となっているようですね。
北日本では今の時季、このお菓子のような光景が広がっていることでしょう。
霞とは、微細な水滴が空中に浮遊することで、空がぼんやりして遠方がはっきりと見えない現象のことです。
同じ現象でも夜になると、「朧(おぼろ)」と呼んで描き分けますが、日本語の繊細な表現力はほんとうに素晴らしいですよね。
山野に水蒸気が立ち込めると、万物の姿がほのぼのと薄れ、いかにも春らしいやさしい趣になります。