「花あかり(はなあかり)」吉野羹製:一炉庵
桜花をかたどった型に吉野葛を流し込み、桜花の塩漬けをひとつ沈め蒸し上げた後、冷まし型から抜いたお菓子です。
吉野羹は、葛を使用した羊羹のことで、葛の代表的な産地である奈良県吉野地方の吉野をとり、吉野羹といわれています。霞のような風合いを出すとともに、葛ならではの風味と舌触りを楽しむことができます。
我々の心を魅了して止まない桜。青空の下の晴れやかな桜も良いですが、灯りに照らされて暗闇に浮かび上がる夜の桜もまた格別です。
桜の樹の周りに灯籠(とうろう)や雪洞(ぼんぼり)を灯したり、篝火(かがりび)を焚いて桜の花を眺めることを「夜桜見物」、略して「夜桜」といいます。
また、灯りがなくても、桜の花の白さだけで、あたりがぼんやり明るく見えることがあり、この様子を「花あかり」と表現します。
漆黒の中にほんのりと浮かぶ幻想的な桜の世界を吉野羹で見事に表現していますね!