「おぼろ」薯蕷製:豊島屋
淡い黄色に染めた薯蕷饅頭の外皮を、熱いうちにひとつひとつ丁寧に手で取り去っておぼろにし、春の朧月(おぼろづき)に見立てたお菓子です。
大和芋の自然の膨張力でふわふわに蒸し上げられた生地と、口溶けの良い餡があいまった格別の美味しさを湛えた逸品です。
春の夜、何もかもぼんやりと煙るように見えることを「朧(おぼろ)」といいます。
春ならではのしっとりと潤った大気の中で、いろいろなものがぼんやりとにじんだように見える味わい深い現象ですね。
朧夜、朧影、星朧、草朧、水朧、鐘朧、灯朧、岩朧・・などと、さまざまな語に付けて使われますが、中でも朧月は特に春の夜の儚くうつろな雰囲気にぴったりです。