「本わらび餅(ほんわらびもち)」蕨餅製:仙太郎
本わらび粉と砂糖を炊き上げ煉った皮で小豆こし餡を包み丸く固め、きな粉をまぶしたお菓子です。
わらび餅は春が旬のお菓子です。
冬、わらびの根を掘って干して細かく砕き、水に晒してデンプンをとり、そのわらび粉で春に餅をつくります。
わらび粉の粘りは、かつて傘や提灯を張る「のり」として使われたほど強力で、それがわらび餅の持ち味である「こし」のある歯ごたえのもとになっています。
その「こし」を失わないようにするには煉る時の火加減が重要だそうで、まさに職人さんの腕の見せ所ですね。
柔らかく滑らかで、弾力がある舌ざわりは葛餅にも似ていますが、わらび餅の方がはるかに野趣に富んでいます。
美しい意匠の多い和菓子の中で、わらび餅はその簡素な形といい、きな粉をかぶった色合いといい、素朴ではありますが風格を感じるお菓子ですね。