「寒牡丹(かんぼたん)」煉切製:東宮
薄紅色と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、中に空洞を保った状態で茶巾絞りにし、花芯に見立てた黄色いそぼろを入れたお菓子です。
絞りによって刻まれた自然のひだが、ほころびかけた花びらの風情を見事に写しています。
藁の霜囲いを施した中に、寒さにもめげず凛々しく咲く牡丹の姿は、けなげでもあり、また、春の幕開けの喜びをも感じさせてくれますね。
暦の上では春とはいえ、まだまだ寒さが身にしみる今日この頃、寒牡丹の花を見ると、愛情をこめ、丹念に慈しんで育ててきた人の顔が浮かび、ふと気持ちが暖かくなります。