「咲分け(さきわけ)」きんとん製:松むら
紅白に染め分けたそぼろを、小豆こし餡を芯にしてそれぞれ左右に半分ずつ植え付け、紅梅白梅を写した逸品です。白いそぼろは白小豆こし餡に薯蕷餡を加えることで、白さにさらに磨きをかけています。
これは、裏千家十一代家元である玄々斎(げんげんさい)好みのお菓子で、嘉永3年(1850)に「咲分(さきわけ)」と銘されたのがはじまりです。
玄々斎は、立礼式といって、畳に座るのではなく、椅子と机を使って行うお茶の創始者として有名です。
「咲分け」とは、一株の草や木に、色の違う花が咲くことをいいます。このお菓子は、1本の木に、紅白の花が咲く、おめでたい梅を表しています。
久方ぶりのきんとんですが、息を飲むほど鮮やかな彩の対比が見事ですね。
梅の季節である新年から二月までの期間以外に、「相生(あいおい)」という銘で、婚礼などの慶事にも用いられるお菓子です。
盛りつける際は、「右紅、左白」のきまりがあるそうなので、それに従って配してみました。
咲分けの梅