「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば
七種(ななくさ)の花
萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花
また藤袴 朝貌(あさがお)の花」
万葉集:山上憶良
秋の七草シリーズも、いよいよ6回目まできました!いつも見ていただき、ありがとうございます。
今日のテーマは「藤袴(ふじばかま)」です。
七草を写した上生菓子の中で最も希少なのが「葛の花」で、それに次いで少ないのがこの「藤袴」です。
藤袴と言えば、日本橋にある名店「ときわ木」さんの黄身しぐれ製の「藤ばかま」が一番有名で、昨年はここのお菓子を紹介しました。
今年は別のお店の趣向の異なる藤袴を食べたくていろいろ探し回りました。
ネット上で二種類見つけましたが、石川県と三重県の和菓子屋さんで、配送はやっていないということで断念。
近隣の主な和菓子屋さん10軒ほどにも問い合わせましたがいずれもありません。
仕方がないので、行きつけのお店に特注で作ってもらうことにしました。幸い友人の誕生会があるので、その席で振舞うお菓子として「藤袴」をテーマにした上生菓子を10個オーダーしました。
意匠は職人さんにおまかせということで、出来上がってきたのがこちらです!
さっそく盛りつけてみました。
ひらひらを上にして並べ、秋風に揺れる藤袴を表現しました。根元の方はほのかに紫色に染められています。
藤袴は開花後、タンポポのような白い綿毛をもったタネができ、風によって遠くへ運ばれますが、白いひらひらの部分がこの綿毛のようにも見えます。
この角度からみると、色がピンクなら八重桜のようになりますね。
「藤ばかま(ふじばかま)」外郎製:そえ田/上生菓子図鑑
紫色にぼかし染めた外郎生地を花びらの形に抜き、四つ折りにして中に黄身餡を入れ、藤袴の花を写したお菓子です。
藤袴は、初秋に淡紅紫色の小さな花を茎の上に群がるように咲かせますが、花の色が藤色で、花弁の形が 袴(はかま)のように見えることから、この名前が付いたという説があります。
生えている藤袴には、香りはありませんが、刈り取った茎葉を半乾きの状態にすると、桜餅の葉のような香りがするので、平安時代の女性は、これを水につけて髪を洗ったり、また、防虫剤、芳香剤として箪笥(たんす)に入れたり、さらには、お茶などにも利用したそうです。