「落し文(おとしぶみ)」こなし製:鶴屋吉信
淡い緑色と白にぼかし染めたこなしを木の葉の形に型押しをし、餡を巻き包みます。さらに、白いこなしを小さく丸めて作った露を添えたお菓子です。
初夏は自然が輝きはじめる季節ですね。 草花ばかりでなく、虫たちにとっても活動が活発になっていく時期です。
夏の初め、山道を歩いていると、筒状に丸められた葉が落ちている事があります。
巻いた手紙の形に似ているので「落し文」と呼ばれているものですが、これは、オトシブミ科の小甲虫がクヌギ、ナラ、カバなどの広葉樹の葉を丸めて産卵したもので、孵化した幼虫はこの葉を食べて育ちます。
こんなマニアックな主題をお菓子で表現したものですが、毎年この時期になると、上生菓子でよく取り上げられる題材のひとつです。
昆虫好きにはたまらない作品ですが、虫の苦手な私は、少し抵抗がありますね(苦笑)