「夜桜(よざくら)」羊羹製:佐藤屋
薄紅色と白にぼかし染めた煉切を大小の桜花に型抜きして、ひとつ、ひとつ手作業で錦玉の中に配します。これを上層にして、沖縄産の黒糖を使用した煉り羊羹の台にのせたお菓子です。
佐藤屋さんは創業文政4年(1821年)の山形の老舗です。
春爛漫に咲き誇る霞城(かじょう)(山形城)の城壁から堀に垂れ下がる桜をイメージして創作された工芸羊羹です。
8代目・佐藤慎太郎さんが幼い頃に見た霞城の夜桜がモチーフになっているそうです。
桜花の散らせ方がポイントで、密集し過ぎてもいけないし、まばら過ぎてもいけません。適度に重なりあい、少しの余白を残して、夜の背景となる黒糖羊羹が見え隠れする風情が絶妙ですね。
コクがあるのに後味がさっぱりした黒糖羊羹の風味が、華やかでかつ儚げな夜桜の趣とよく合っていました。