「春がすみ(はるがすみ)」煉切製:森八
淡いピンク色に染めた煉切で草小倉を包みまるめます。さらに、泡立てた卵白の中に錦玉を入れまぜた淡雪羹を筆に含ませ、上に大きく「の」の字を書いて仕上げたお菓子です。
草小倉とは、白小豆つぶ餡に蓬(よもぎ)を混ぜた香り高いつぶ餡です。蓬の緑色が煉切の色に影響しないように、草小倉は白い求肥にくるんでから煉切で包んでいます。
このような細かい気遣いがお菓子の完成度をさらに高めていますね。
ひとつひとつ手描きの白い淡雪羹のかすれた風合いが、遠くに霞(かすみ)のたなびく春の景色を見事に写しています。