「若草(わかくさ)」きんとん製:秋色庵大坂家
求肥で包んだ自家製漉し餡を芯にして、その周りに柚子の香り漂う若草色のそぼろをふわりと植え付けています。毛篩(けぶるい)で丹念に漉しだした、糸のように細かなそぼろは圧巻ですね。
奥多摩に自生している貴重な柚子を使っているそうで、口の中でほろほろと溶けてゆく柚子そぼろの風味がたまらない逸品です。
萌え出たばかりの草は、その緑の色こそまだ浅いものの、力強い生命力を感じさせてくれますね。
枯れ色の大地を緑色に変える野の草のみずみずしい営みが目にできるよい季節になりました。
この春の喜びをお菓子でかたどるならば、やはりこのようなお菓子が相応しいですね。姿・彩・味わいのいずれもが格調高い逸品です。