「桜(さくら)」煉切製:五十鈴
白こし餡を外郎で包み俵形にまるめます。さらに、薄紅色と白にぼかし染めた煉切に桜花の木型を押し当てた生地で巻き、桜の花びらをひとひら散らしたお菓子です。
桜を題材にした和菓子は無数にあり、その手法も多種多様です。
手技(てわざ)で温かく創り上げたもの、本物そっくりに木型で写しとったもの、そぼろで抽象的に表したもの、流水や霞、扇、筏など、ほかのモチーフと組み合わせて表現したもの、そのどれもが、職人さんの発想と技術の結晶ですね。
華やかなのに優しく嫌みのないこのお菓子は、数ある桜の上生菓子の中でも特に気に入っている逸品です。
桜は花の中の花。毎年誰もが開花を心待ちにしている日本人の心の花ですね。各地から桜の便りが届き始めると、なんだかそわそわ落ち着かなくなってしまいます。
最近また少し冷え込んで、桜のつぼみもまだ堅く縮こまっているようですが、和菓子で一足先にお花見を楽しみましょう!