· 

御河の岸(とらや)

「御河の岸(みかわのきし)」こなし製:とらや 
紅色に染めたこなしで白小豆こし餡を包み、木型で抜いて桃の花を写しています。「御河(みかわ)」とは御所の周りや庭に設けられた溝(御溝:みかわ)のことです。大正時代頃に初めて創作されたお菓子です。 


かつて日本には、春夏秋冬を二十四の節気に分け、さらに七十二の季節に分けて『候(こう)』と呼び、その候ごとに見せる花や鳥、草木や自然にまなざしを向け、季節に寄り添って暮らしていた時代がありました。 

例えば、3月を例にあげてみましょう。 

3月6日〜 3月20日の節気は「啓蟄(けいちつ)」になります。 

さらにこの期間を3つの候に分けます。 

3月6日〜 3月10日:蟹虫啓戸(すごもりむし、とをひらく) 
3月11日〜 3月15日:桃始笑(ももはじめてわらう) 
3月16日〜 3月20日:菜虫化蝶(なむし、ちょうとなる) 


明後日から「桃始笑」の候が始まります。 桃のつぼみが開き、花が咲き始める頃ですね。 

昔は“咲く”という言葉を“笑う”と表現したそうです。 ゆっくりと開いていく桃の花は、優しく微笑んでいるようにも見えますね。