「夜の梅(よるのうめ)」煉切製:ちもと
薄紅色に染めた煉切で小豆こし餡を包み、木型で抜いて、夜の梅の姿を写したお菓子です。
写真ではわかりにくいですが、向かって左上に三日月が描かれています。
「夜の梅」といえば、とらやさんの羊羹の商標としてあまりにも有名ですが、とらやさんのホームページによると、羊羹の切り口の小豆が、夜の闇にほの白く咲く梅を表すことから名付けられたそうです。
一方、ちもとさんの「夜の梅」は、三日月の淡い光に照らされて、暗闇にほんのり浮かび上がった紅梅を表現しているようです。
桜の場合は、樹の周りに灯籠(とうろう)や雪洞(ぼんぼり)を灯して、暗がりの中に浮かび上がる花姿を楽しむ「夜桜見物」が人気です。
梅の場合は、その素晴らしい香りを愛でるために、あえて夜の暗がりの中で視覚を遮断することによって、嗅覚がさらに刺激されるという愉しみ方もあるのではないでしょうか。