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四ヶ村(三英堂)

「四ヶ村(しかむら)」煉切製:三英堂 

黄色に染めたそぼろを椿の花芯に見立て、その周りを白い煉切の花びらで包み込むように形づくったお菓子です。花の根元の部分を黄緑色に染め、花芯に金箔を散らしています。 

 

三英堂さんは、昭和4年創業の島根県松江市の和菓子屋さんです。 

 

このお菓子の菓銘「四ヶ村」は、茶人大名として有名だった松江藩第7代藩主、松平不昧(まつだいらふまい:1751〜1818)の逸話にちなんだものです。 

 

不昧公が、鷹狩り行った帰り道のこと、道沿いに見事に咲く椿の樹を見つけ、「この近隣の四つの村を見渡しても、これ程の品のある名花は見たことがない。よって『四ヶ村(しかむら)』と命名する」と云われたそうです。

 

以後、この椿の所有者である菅田町の山本家では、その由来を代々語り継がれ、大事に守り育てておられます。 

 

白椿のひそやかさや、清楚な雰囲気が見事に表現されたお菓子ですね。銘々皿にのせる時に、本物の椿の葉を添えるとさらにお菓子が引き立つでしょう。