「うぐいす」煉切製:泉心庵
緑色と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、手技(てわざ)で小鳥の形を作り、最後に、黒ごまで目を、肉桂粉でくちばしを描いたお菓子です。
このような手技のみで作られる「手形もの」は、制作した個数だけ全部表情の違う作品が出来上がり、手作りならではの趣を感じることができますね。
その年最初に鳴く鶯(うぐいす)の声を初音(はつね)といいます。
また、鶯に限らず、時鳥(ほととぎす)や雁(かり)、鹿の鳴き声、虫の音なども初音ということがあります。
特に江戸時代は仏教が人々の生活の中で大きな地位を占めていたため、“法華経(ホケキョウ)”と鳴く鶯は霊鳥として珍重されたそうですね。
厳しい冬が終わり、あたたかい春の訪れを告げる鳥として、古くから人々に親しまれてきただけあって、この時季の和菓子のテーマとしてもよく見かけます。
鶯のさえずりを聞きながら、美味しいお抹茶とともにいただくと最高のお菓子でしょうね。