先日初めて訪問し、すっかりその味の虜になってしまったお店「文銭堂本舗(ぶんせんどうほんぽ)」の睦月(むつき)の上生菓子を紹介します。
寛永年間(1624〜1645年)に、京都方廣寺の大佛をこわして通貨(文銭)が鋳造された。この通貨は、大仏様の化身であると人々から崇められ、無病息災のお守りや、財布の種銭として大切にされたという。お店の屋号はこの「文銭」に由来しています。
今年で創業68年になる御菓子司「文銭堂本舗」の現在の御主人は2代目。前回、前々回の日記で紹介した「黒牡丹、君牡丹」は、この2代目ご主人の代表作です。
この店は、特に季節の上生菓子に力を注いでいて、上生に付いてくる詳しい解説書を見るだけでも、その熱意が十分伝わってきます。
和菓子の菓銘、材料はもとより、製法上の専門用語にいたるまで親切に解説されているのです。
では、1月の上生菓子6趣を堪能してください。
「福梅(ふくうめ)」煉切製
薄紅ぼかしの煉切の茶巾絞り。
「水仙(すいせん)」小倉・求肥製
雪に見立てた白い錦玉でつやだし。
「雪南天(ゆきなんてん)」きんとん製
柚子入りのきんとん。
「紅梅(こうばい)」羊羹・村雨製
梅をテーマにした上生は28種類集めたが、その中で私が一番好きな意匠がこのお菓子です。
「寒牡丹(かんぼたん)」雪平製
花芯に見立てたあんぽ柿の果肉が独特。
「福俵(ふくだわら)」桃山製
この「福俵」の味がどうしても忘れられず、翌週にまた買いに行ってしまいました。最近食べた上生の中で一番美味しい!