人々が集まって共通の御題(おだい)で歌を詠み、その歌を披講する会を「歌会」といいます。
この「歌会」の中でも天皇によって開催されるものを「歌御会(うたごかい)」といい、年の始めに開かれるものは「歌御会始(うたごかいはじめ)」と呼ばれていました。
明治7 年(1874)、それまでは皇族・側近のみの参加であった歌御会始に、国民の参加も認められるようになりました。
こうして歌御会始の「お題」が身近なものになってきたことを背景に、明治21
年(1888)、京都の上菓子屋の有志が集まり、「御題」にちなむ菓子を作って展示会を開催したのが「御題菓子」の始まりです。
歌御会始は、1926年以降は「歌会始(うたかいはじめ)」と名称を改められました。
今年、平成27年(2015)の御題は「本(ほん)」です。
ちなみに、過去5年間の御題は
2010年:光
2011年:葉
2012年:岸
2013年:立
2014年:静
今日は、私の大好きな鎌倉の「豊島屋」さんの御題菓子を紹介しましょう。
「本(ほん)」しぐれ製:豊島屋
表紙と裏表紙、綴じ紐はこなし製です。小豆餡しぐれと、白餡にはったい粉を混ぜたしぐれを重ねあわせて冊子を表しています。
本のタイトルは「豊島屋」となっています。
先人たちの知識の結晶であり、新しい世界への道しるべともなる本が、こんな素晴らしいお菓子になりました。