「寒桜(かんざくら)」錦玉製:桃太郎
抹茶羊羹を台にして、その上に道明寺羹をのせ、さらにその上に桜の花の塩漬けを入れた錦玉を重ねたお菓子です。
真っ白い道明寺と透明の錦玉が冬の冷たくて冴え冴えとした空気感を見事に表していますね。そんな真冬の寒さの中に、二輪の桜が、肩を寄せ合うように優しく咲いています。
「寒桜」は、二つの意味で使われます。
まずは、晩秋から一月頃にかけて咲く桜のことを指す場合で、別名「冬桜(ふゆざくら)」ともいいます。
あとは、1〜3月に暖かい地方で緋紅色の花を咲かせる寒緋桜(かんひざくら)の通称としても使われる場合があります。
今回のお菓子は、前者の寒桜を写したお菓子です。
冬に咲く桜は、春の絢爛な桜と比べると、木も小ぶりで花も小さく、ほとんど白に近い薄紅色で地味で目立たない印象です。
しかし、あたり一面冬枯れの中では、そんな控えめな桜でも、まるでそこだけぽっと灯がともったような独特な風情を醸し出してくれます。
こういうところが、和菓子のテーマとしても、たまらないほど魅力的なものに感じられますね。