今日は「あわぜんざい」や「あんみつ」で有名な、浅草の和菓子店「梅園」さんを紹介します。
とても歴史が古く、創業は安政元年(1854年)といいますから、ペリーが黒船で日本にやってきていた時代です。
浅草寺の別院である梅園院(ばいおんいん)の一角に茶屋を開いたのが始まりだといいます。
梅園院の庭には、その名の通りたくさんの梅の木があり、それにちなんで屋号を「梅園」と名付けたそうです。ただし、読み方は「ばいえん」ではなく「うめぞの」です。
初代が考案して売り出した「元祖あわぜんざい」はたちまち大人気となり、東京名物になって以来150余年、浅草を代表する甘味処専門店となりました。
ここの上生菓子の特徴は、単純明快で正統派。作品によって、型にはまりすぎていて、もうひとひねり工夫がほしいと思うこともありますが、時折、他であまり見かけないような珍しい菓銘のお菓子を見つけ、はっとさせられることがあります。そのサプライズを求めて時々足が向いてしまうお店です。
浅草の本店まではなかなか行けませんが、幸い主要な百貨店に出店されていますので、そちらで気軽に買えるのもいいですね。
今回は、12月の上生菓子を 5種類購入しました。
「初雪(はつゆき)」求肥製
純白の求肥と淡雪羹(あわゆきかん)と氷餅粉の白づくしで雪を表現したお菓子です。
ひとひらの紅葉が雪の白さによく映えていますね。紅葉が散る前に、雪になった様子です。紅葉に雪とはなかなか見る事の出来ない貴重な景色です。
「雪見酒(ゆきみざけ)」求肥性
春の花見酒、秋の月見酒に、冬の雪見酒。四季折々の気候に恵まれた日本で、酒と雪月花は切っても切り離せない関係です。
全体の形が徳利(とっくり)のようにみえます。蔓(つる)のような緑色の線は何を現しているのでしょうね。 雪の中、舞い落ちる枯葉の軌跡を描いているのでしょうか。
「冬池(ふゆいけ)」煉切製
水面の暗紫色が寒々とした雰囲気を醸し出しています。白い部分は薄氷が張り始めているのでしょうか。舞い降りては池に溶け込んでいく雪を氷餅粉で表しています。
冬の水鳥がたてたであろう渦巻き状の水紋や、水面からぽつねんと顔を出した杭(くい)の様子など、何とも言えない味わいがあるお菓子です。
「南天(なんてん)」煉切製
南天は難を転ずるということから、災いが来ないように庭の目につくところに植えられます。冬の花の少ないときに真赤な丸い実をつけ、彩りを添えてくれます。
なんだか赤い南天の実が目に、枝が笑った口に見えて、ユーモラスなアニメのキャラクターの顔のよう。
「イチョウ」きんとん製
周りの鮮やかな緑色が、いっそう銀杏葉の黄色を引き立てています。黄色に染めた氷餅粉をまわりに散らし、銀杏の葉が黄金色に輝いている様を表しているお菓子です。