今日紹介するお店は、横浜市磯子区にある和菓子店 「磯子風月堂(いそごふうげつどう)」さんです。
昭和13年創業の老舗。 先代社長が東京本郷の風月堂で修行し 、のれん分けで風月堂の名を頂きました。
和洋菓子を問わず<〇〇風月堂>というお店は日本全国に沢山ありますが 、支店やフランチャイズではなくそれぞれが独立した1つのお店だそうです。
また、日本風月堂協会という団体もあって、いろいろな地域の風月堂が集まって美味しいお菓子作りのための情報交換をしあっているとのこと 。
昭和30年代末まで磯子は風光明媚な料亭街でした。海岸沿いに立ち並んだそれぞれの料亭の庭から直接海に出ることができ、磯遊びを楽しむ事ができる絶好のリゾート地だったそうです 。
磯子風月堂さんはもともとこれらの料亭に御菓子を納める菓子屋として始まりました。
やがて時代は流れ 、埋め立て開発により海は遠くなり、今では料亭街の面影はまったく無くなってしまいましたが、磯子風月堂は今も変わらず美味しい御菓子を発信し続けているます。
ここの上生菓子の特徴は、緑色の発色がとても奇麗なことと、質感の異なる生地をうまく組み合わせた意匠が多いことですね。
今日は、味わい深い秋のお菓子を三趣お届けします。
「山路(やまじ)」小倉・求肥製
緑色は使われていませんが、補色の赤がよく効いています。
「里の秋(さとのあき)」羊羹・浮島製
この深い緑色は、挽茶色(ひきちゃいろ)のようです。秋の実りの黄金色との相性は抜群。
「お茶の花(おちゃのはな)」羊羹・煉切製
枯色の多いこの時期に貴重な緑色ですね。この緑は鶸萌葱色(ひわもえぎいろ)のようです。