「福壽堂秀信（ふくじゅどうひでのぶ）」さんは、関西地区のみの出店で、 しかも上生菓子は通販はやっていないので、 関東では手に入りません。
大阪に出張に行った際には必ず立ち寄るお気に入りの和菓子屋さんです。
1948年（昭和23年）に大阪の花街として有名な宗右衛門町（そえもんちょう）にて創業しました。
ここは舞踊、浄瑠璃文楽、茶華道の師範、一流料亭などが集まる洗練された浪速文化の土地柄、 味にうるさい上方の文化人たちに揉まれ磨き上げられた名店だけあって、 完成度の高さでは定評があります。
今日は、紫陽花をテーマに創作された二種類のお菓子を紹介します。
「山紫陽花（やまあじさい）」きんとん製：福壽堂秀信
山紫陽花は、山の中でも特に沢によく見られることから、沢紫陽花（さわあじさい）とも呼ばれています。青や濃い紫色に染めたみじん粉で、粒状に咲く特徴的な花を表現しています。
「紫陽花（あじさい）」きんとん製：福壽堂秀信
雨の色と同化するような、なんともいえない素敵な水色ですね。小さめの賽の目錦玉を散らすと、さらに奥行きがでて、静謐な世界がより深まります。
二種類の紫陽花を対比させるように創作しています。
同じきんとん製ですが、色合いや意匠を微妙に変え、見事に描き分けていますね。
造形は凝った造りのものより簡素でシンプルなものが多いですが、いずれも深い味わいがあります。
今回の紫陽花二趣は、どちらも甲乙つけがたく、いずれのきんとんもとても柔らかく、口の中に含むと、すぐにふわっととろけ、上品な甘さに酔いしれました。