「岩根つつじ(いわねつつじ)」 求肥製:彩雲堂
白い求肥生地を池に見立て、その中を泳ぎ戯れる魚を焼印で描写。黒豆で池のほとりの岩を表し、紅色のそぼろを添えて岩陰にひっそり咲くつつじを表現しています。
同じつつじを主題にした上生菓子で、菓銘もまったく同じですが、前回紹介した美鈴製のものとは全く趣が異なるのがおもしろいですね。
京都、金沢と並ぶお菓子処と称される 島根県の松江。その松江を代表する老舗和菓子店「彩雲堂(さいうんどう)」さんの作品です。
一般的な求肥の食感の特徴といえば、あの、餅とも団子とも違う絶妙な柔らかさ。そして、もっちりしているのにのど越しがいい独特の感触。
彩雲堂さんの求肥は自社製のこだわりの求肥粉を使っています。
全国で2ヶ所だけに残る石臼による特別な水挽き法で求肥粉を作っているそうで、この製法により粉の粒子の大きさにばらつきができ、柔らかな舌触りの中に独特の粘りと風味が出るといいます。
製粉工場で大量生産した既製品の求肥粉で作った求肥とは食感も味わいも明らかに違うのがわかります。