「水仙青柳(すいせんあおやぎ)」葛製:とらや
黄と緑に染め分けた餡を葛で包んだ、清々しいお菓子です。きれいに二色に分かれた断面が見事です。このお菓子は、大正7年(1918)に初めて創作されました。
春の芽吹きから新緑にかけての青々とした柳は「青柳」と呼ばれ、糸を思わせる繊細な美しさが昔から賞賛されています。
室町時代に葛粉を使った葛切の原形のお菓子が出回りましたが、当時このお菓子は「水繊(すいせん)」と呼ばれていました。
この「すいせん」に、やがては清楚な花の名の「水仙」の字があてられるようになり、葛切は「水仙羹」、葛まんじゅうは「水仙まんじゅう」、葛ちまきは「水仙ちまき」などと呼ばれるようになりました。
そこから、このお菓子も「水仙青柳」と名付けられています。
語感がとても美しいので、現在でもこの呼び名は生きており、料亭のお品書きなどでも目にすることがあります。
葛特有のひんやり、つるりとした口当たりは、暑い季節の味覚として欠かせませんね。