「花菖蒲(はなしょうぶ)」外郎製:東宮
淡い紫に白のぼかしを入れた四角い外郎皮に黄身餡をのせ、きれいにたたみ、上部にへらでくぼみをつけ、花菖蒲の花を写しています。
まるで絹織物を折り畳んだような意匠が優美で、外郎生地ならではの透かしが独特の品を醸し出していますね。
黄身餡の黄色を透かすことで、花菖蒲の特徴である花びら基部の黄色い目型模様を見事に写し取っています。
卵の濃厚な香りが立ち上る風味豊かな黄身餡と、やわらかなのに程よくもっちりした外郎のバランスも見事でした。
東宮(とうみや)さんは、千歳船橋駅前にある 昭和36年創業の和菓子屋さんで、初代は、「西のきぬかけ、東の東宮」 といわれたほどの名職人だったそうです。
最後に、このお菓子にぴったりな一句を添えて。
はなびらの垂れて静かや花菖蒲 高浜虚子