「杜若(かきつばた)」外郎製:豊島屋
白と黄色にぼかし染めた外郎生地で白こし餡を包み、茶巾絞り仕立てにしたお菓子です。
茶巾絞りは単純ではありますが、どことなくしなやかさを醸し出した絞り方で、白いかきつばたの清爽なイメージを絶妙に写していますね。
白一色にせず、ほのかに黄色を帯びた姿は、つややかな美しさと品格を感じさせてくれます。
外郎のような粘性のある生地は、切る時に刃にくっついてきれいに切れないので、いったん凍らせて固めてから切り、自然解凍して断面を撮影しました。
かきつばたは5〜6月の水辺に咲く花で、あやめ、花菖蒲(はなしょうぶ)とともに日本情緒にあふれる初夏の風景となります。
昔から「いずれあやめか 杜若」と言われ、美人の形容詞にされたり、"どれも優れていて選択に迷う"という意味で用いられたりしますが、同じアヤメ科アヤメ属の中でも、杜若は、最もゆかしい優雅な風情を持った花ではないでしょうか。