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あやめ(鶴屋八幡)

「あやめ」こなし製:鶴屋八幡 

 

あやめは五、六月ごろ紫色の優美な大花をひらきます。外側に反り返るように垂れ下がる三枚の花びらと、直立した細い花びらが交互についている様子は、ほんとうに艶麗ですね。 

 

紫色に染めた色餡に玉子餡(黄身餡)を少し埋め込むように重ね、薯蕷餡を三カ所にのせます。布巾に包み、三角の吹き上げにつまむように茶巾絞りに仕立てると、あでやかな姿ができ上がります。ころあいのつまみ加減が肝心です。 

 

あやめは、「文目」または「綾目」と書き、すっとした様子で立っている葉をあやに見立てた名前ともいい、紫色の花弁の元の部分が黄色で、その上に濃い紫色の網目が出るところからという説もあります。