「夜桜(よざくら)」外郎製:福壽堂秀信
白のういろうを薄くのばして桜の型で抜き、紅色のこし餡の上に二重にかぶせ、頂上の部分に焼印で花芯を描いています。中の紅餡の色が透けて、白い花びらがほんのり染まったかのような風流な色合いが素敵です。
このお菓子、面白い構造になっているので、よくわかるように、分解してみました。
まず、一番上にかぶせている白い花びらを一枚はがしました。
白い五枚の花びらになっています。中心部は花芯に見立てた焼印です。
一番外側の花びらをはがすと、より色の濃い紅色に変化しました。この状態でも十分綺麗で、このまま菓銘を付けて別のお菓子として出せそうですね。
上にかぶせている花びらはピンク色にみえますが、はがしてみると、白い外郎生地で、中の紅餡が透けてピンク色に見えていたことがわかります。
花びらをすべてはがされて、中の紅餡があらわになってしまいました。
花といえば桜、その花をことさら夜に楽しんで、漆黒の中に薄紅色の花がざわめく姿をういろうに託しています。シンプルなのに、工夫のこらされた素晴らしい作品ですね。