「さくら咲く(さくらさく)」煉切製:彩雲堂
薄紅色と緑色に染め分けた煉切に千筋をつけ、ロール状に餡を巻き込み、金箔をちらし、さらに、白い煉切でかたどった桜花を添えています。
「世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」
古今和歌集の中にある在原業平(ありわらのなりひら)の有名な歌ですね。
“この世の中にいっそ桜というものがなかったら、春の人々の気分はどんなにのんびりとしたものであるだろうに・・・”
といった意味ですが、ほんとうに、桜の季節になると、なんだかそわそわと気持ちが落ち着かなくなってしまいますよね。
今か今かと花便りを心待ちにし、蕾がふくらむと心はずみ、さらに、ほころび始めると心浮き立ち、満開になると心逸(はや)り、やがて散り始めると心寂しく思うというように、どうしても気持ちがそぞろになってしまいます。