楓(かえで)は、秋の燃えるような紅葉も見事ですが、初夏の若葉もまた違った趣があって惹かれますよね。
この青葉の楓は「青楓」「若楓」「楓若葉」などと呼ばれ、古くから愛でられてきました。
「青楓(あおかえで)」小倉・求肥製:田園調布あけぼの
求肥を中心にして、その周りを囲うように小豆つぶ餡で包み、短冊状に切った錦玉をのせます。さらにその上に緑色に染めた羊羹製の青楓を配したお菓子です。
渓流沿いに、青々と広がる若葉楓を写した逸品です。
清らかな水の流れ、水面に映る青葉の陰、舞い降りた葉が静かに漂う様子など、いろいろな光景が浮かんできますね。
求肥と小豆つぶ餡を台にして、その上に四季折々の風物を描く手法は田園調布あけぼのさんの十八番です。
「猫柳(ねこやなぎ)」
「花筏(はないかだ)」
「山吹(やまぶき)」
「夏木立(なつこだち)」
「のぼり鮎(のぼりあゆ)」
「尾瀬(おぜ)」
「つた」
「きのこ」
「紅葉(もみじ)」
「赤とんぼ(あかとんぼ)」
こだわりの自家製餡を堪能するにはまさにうってつけのお菓子ですよね。
高価な丹波産の大納言小豆を使い、豆の煮炊きから、仕上げまで独自の方法で行っているそうです。
特に7年前くらいから徐々に製法を変えて、より美味しい餡になるよう試行錯誤をくりかえし、2年前にようやく満足できる現在の形が完成したと感慨深げに職人さんが語っていました。
餅とも団子とも違う絶妙な柔らかさの求肥と、風味豊かなつぶ餡の組み合わせは、まさに車の両輪のように相性抜群ですね。