「青もみじ(あおもみじ)」煉切製:いいだばし萬年堂
薄緑色と黄色にぼかし染めた煉切で白小豆こし餡を包み、へらを用い、葉縁のギザギザや葉脈を刻み、手技(てわざ)で楓(かえで)の青葉を写したお菓子です。
白餡といえば、普通はいんげん豆を使って作りますが、このお菓子は貴重な白小豆の白餡です。
白小豆は、栽培が難しく、作っている農家も少ないため、一般の人が市中で見かけることはまれで、ほとんどは高級和菓子用として限られた和菓子店へ優先的に卸されます。
いんげん豆の白餡はさっぱりとはしていますが、風味に乏しいのが欠点です。これに対して、白小豆の白餡は、しっかりと小豆の香りがしながらも、とてもやさしく上品な餡に仕上がるのが特徴です。
こんなエピソードを聞くと、断面の白餡がひときわ輝いてみえますね!
さて、「楓(かえで)」や「もみじ」と言えば、真っ先に秋の紅葉のさまを思い浮かべますが、 紅葉以外の時期で、特に若葉から青葉に移る頃の瑞々しい楓も魅力的ですよね。
「若楓(わかかえで)」「楓若葉(かえでわかば)」「青楓(あおかえで)」「青紅葉(あおもみじ)」などと呼ばれ、俳句の世界では初夏の季語として親しまれています。