「遠桜(とおざくら)」きんとん製:とらや
遠くに見える桜の濃淡を、白と紅のそぼろで見事に表現しています。昭和54年(1979年)にはじめて創作されたお菓子です。
きんとんもその色彩ひとつで、初桜からはじまり、五分咲きの桜、満開の桜、かがり火に映える夜桜、遠山の霞んだ桜など、それぞれのイメージと美しさを描き分けることができます。
このお菓子は、彩と銘から、遠くの山々の桜が、春らしく霞みがかった様子で咲いている姿を思い浮かばせてくれます。
このように、桜の樹のみならず、その背景にある気象や心情といったものにまで想いを巡らせる愉しみが本当にいいですね。このようなものこそ、茶の菓子と呼ぶにふさわしいと言えます。