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若葉のかおり(とらや)

「若葉のかおり(わかばのかおり)」道明寺製:とらや 

楓(かえで)の焼印を押した緑の道明寺饅頭。みずみずしい葉の香りを含んだ初夏の風を思い起こさせるお菓子です。中は小倉餡で、昭和6年(1931)に初めて創作されました。 

 

このお菓子全体にまぶされている白く毛羽立つような素材は氷餅(こおりもち)です。 

 

氷餅は、蒸したもち米粉を煮溶かして糊状にし、型に流して外気で凍結させ、切断して紙で包んだものを、約1ヶ月かけて乾燥して作られます。 

 

これを砕いてフレーク状にしたものを生菓子にまぶして、飾りとして使います。薄いかけらが雲母(うんも)のように純白に輝き、まさに薄く張った氷や雪のような質感があるので、特に冬の和菓子に多用されます。 

 

今回は初夏のお菓子ですが、幾重にも重なった楓の若葉が、日差しを受けてきらきら輝いている様子を、粗めに砕いた氷餅で見事に表現しています。

 

まさに菓銘の通り、見ているだけで生命力に満ちあふれた若葉の新鮮なかおりが漂ってきそうなお菓子ですね。