「涼風(りょうふう)」錦玉製:成城風月堂
すだれ状に薄く細長く作った錦玉生地で、黒胡麻を煉り込んだ白こし餡を巻き包み、羊羹製の青楓を添えたお菓子です。
8月7日から11日頃までの期間は、二十四節気七十二候でいうと、「立秋」の「涼風至(すずかぜいたる)」に当たります。
夏の暑い風から、秋の涼しい風に替わりはじめる頃です。
連日の猛暑からは想像もできませんが、暦の上ではもう秋の始まりなのですね。
さて、 「涼風」という菓銘ですが、これは映像を持たない言葉なので、お菓子のように目に見えるもので表現するとなると、職人さんの発想力にかかってきますよね。
黒胡麻入りの餡は渓谷の岩肌、ちりめんのように細かく波打った錦玉生地は岩肌を伝う流水に見えます。
まだしばらく暑い日が続きそうですが、朝夕において、または、水辺で、あるいは星空をながめながらなど、ふとした瞬間に涼風を感じることができ、かすかでも秋の気配を味わえるといいですね。