「麗(うらら)」煉切製:福壽堂秀信
薄紅色に染めた煉切で餡を包み、茶巾絞り仕立てにしています。
単一色のシンプルな作品ですが、春霞のように曖昧模糊とした雰囲気や、ひとつひとつ異なる絞りの襞(ひだ)の個性を楽しめるお菓子です。
「うらら」とは「麗か(うららか)」と同じ意味で、海も野山もすべてのものが春の光に包まれ、明るくのどかな様子をいいます。
古くは「うらうら」といい、それが「うらら」と省略されたといわれています。
うららといえば、「春のうららの隅田川〜」で始まる、有名な歌が思い出されます。
うららは、陽気な気候だけでなく、心にわだかまりがなく、おっとりしている心のうちを表す言葉でもあり、うららそのものの響きとも相まって、実にほんわかとして、癒される素敵な言葉ですね。