「野山(のやま)」煉切製:松むら
黄色と緑色に染め分けた煉切で餡を包み、茶巾絞り仕立てにし、薄紅色に染めたそぼろを三か所に可愛らしく添えています。
この時季になると、和菓子店には優しい薄紅色や鮮やかな黄色のお菓子が並び、華やかな春の気配が漂いますね。
野には菜の花が競うように咲き乱れ、所々に花開く桜がアクセントになっています。
また、野に続く山は、全体が淡い緑色に萌え立ち、いよいよ春が来た!という生気あふれる躍動感が伝わってくる情景です。
このお菓子が表現する山の風景は、あまり高い山ではなく、その麓に暮らす人々に普段から親しまれている近在の山々の春のたたずまいですね。