「蛤形(はまぐりがた)」薯蕷製:とらや
蛤をかたどった薯蕷饅頭です。中は白餡。この菓子が初めてつくられたのが、安政3年(1856)です。
蛤は、平安時代から伝わる「貝合せ」という遊びで使われました。これは、貝殻の色合いや形の美しさ、珍しさを競ったり、その貝を題材にした歌を詠んでその優劣を競い合ったりする貴族たちの遊びでした。
また、この貝合わせの貝殻を入れるふた付きの桶のことを「貝桶」といいます。八角・六角・四角・丸形などがあり、蒔絵を施し、江戸時代には嫁入り道具の一つとされ、現在では雛飾りの調度品としてその形が残っています。
さらに、蛤のお吸い物は雛まつりの食べ物ともされており、一対の貝が決して他の貝殻とは合わないことから、一夫一婦の教えにつながる蛤。生涯相手を変えないということが、女性にとって一番の幸せの一つとされたことから、蛤と雛祭りが結びついたといわれています。