「果物盛り(くだものもり)」煉切製:大倉山青柳
煉切で桃、苺、さくらんぼ、スイカ、みかん、バナナを写実的にかたどり、竹かごに盛った華やかで楽しいお菓子です。
縮尺が統一されていないので、苺が桃と同じくらいに大きかったり、スイカが異様に小さかったり、さくらんぼとみかんの大きさがほとんど同じだったりするのがちょっと愉快です。
果物の盛りかごは、フルーツバスケット(Fruit basket)ともいい、いろいろな種類の季節の果物を見栄えよく組み合わせて入れたものです。
お見舞いなどの手みやげや、誕生日、出産、結婚、還暦などのお祝いとしてもよく用いられるほか、ホテルのスイートルームなどにも置かれていますよね。
もう終わってしまいましたが、このお菓子は、雛祭りのお祝い用に売り出されていたものです。
このように、本物そっくりに、写実的に作られたお菓子は、上生菓子というより、工芸菓子または細工菓子と呼んだほうが適当でしょう。
工芸菓子というのは、すべて食べられる素材を使い、花や動物や風景など私たちの周りにある花鳥風月を、写実的に立体的に絵画的に表現したお菓子のことです。
上生菓子は必ずしも写実的である必要はなく、表現方法は多彩で、むしろ抽象的な意匠が多いのが特徴ですが、工芸菓子は必ず写実的な表現でなければならない点が両者の違いです。
細工菓子より、工芸菓子の方がより芸術性が高く、一応食べられる素材で作りますが、食べずに観賞するのが主目的のお菓子です。
彩雲堂の職人さんの作った工芸菓子です。とてもお菓子には見えませんね。
(彩雲堂のHPよりお借りしました)