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仙寿(とらや)

「仙寿(せんじゅ)」羊羹製(こなし製):とらや 

 

明治40年(1907)初出。白餡入り。 

 

あまり知られていませんが、「桃といえば中国」というほど、中国人にとって、桃は単なる果物以上の力を持った存在なのです。 

 

中国では古くから桃を仙果(仙人が食べる貴重な果物)とみなし、邪気をはらい不老長寿を与える果物として神聖視されてきました。 

 

例えば、 

*中国の福寿祝いの絵にはよく桃がデザインされています。 

*祝い事の際には桃の実をかたどった饅頭菓子「寿桃」を食べる習慣があります。 

*理想郷「桃源郷」のもとになった陶淵明の『桃花源記』をはじめ、中国の文学作品の中でもしばしば桃は特別な存在として描かれています。 

*中国語で“桃”は“刀”に発音が似ていることから、桃の木で作った刀には仙力があり、鬼が嫌うといわれています。 

*亀の甲に占い字を刻んで、それを裏から火であぶると、甲羅にひび割れができるが、これを《兆》といい、その兆の形を見て吉凶を占う方法があります(亀甲占い)。「桃」は兆し(きざし)をもつ木とされ、兆しをもつ木は未来を予知し、邪気を払うとされました。 

などなど。 

 

また、桃の原産地は中国西北部の黄河上流ですし、現在中国が世界最大の桃の生産国でもあります。 

 

そういえば、中華料理のチェーン店「バーミヤン」のシンボルマークも桃ですよね。 

 

私の中国の友人は桃の木で作られたペンダントをとても大切にしていて、いつも肌身離さず身につけています。 

 

 

長生きのお年寄りをお祝いする節目の歳に、いろいろな名前がついています。 

 

たとえば、77歳の喜寿(きじゅ)、80歳の傘寿(さんじゅ)、88歳の米寿(べいじゅ)、90歳の卒寿(そつじゅ)、99歳の白寿(はくじゅ)など。

 

また、100歳にはいろいろな言い方があって、百寿(ひゃくじゅ、ももじゅ)、上寿(じょうじゅ)、紀寿(きじゅ)。 

さらに、今日のお菓子の菓銘である仙寿(せんじゅ)も100歳のお祝いの意味です。これは百歳以上は仙人の域に達したという意味でこのように言うようです。 

 

桃を題材にした中国の吉祥図