「梅暦(うめごよみ)」きんとん製:鶴屋八幡
粒餡を芯にして薄紅色に染めたそぼろを植え付け、氷餅を散らしています。
菊にはたくさん別名がありますが、梅にもたくさんの別称があります。
例えば、好文木(こうぶんぼく)、春告草(はるつげぐさ)、木の花(このはな)、初名草(はつなぐさ)、香散見草(かざみぐさ)、香栄草(こうばえぐさ)、百花魁(ひゃくかかい)、風待草(かぜまちぐさ)、匂草(においぐさ)、花の兄(はなのあに)などです。
どれも文学的なきれいな名前ですね。これだけいろいろな異称があるということは、昔から日本人にとって、梅の花は別格の存在だったのでしょう。
さらに、梅の花の咲くのを見て春の到来を知るところから「梅暦(うめごよみ)」という風情ある別名もあります。
カレンダーなどがない時代に、梅の花が開くと、それを合図に、稲作農家の方たちは一年の農作業の準備を始めたそうなので、まさに自然の暦になっていたわけですね。
上生菓子はピンク系や紫系など、見た目が華やかなもの、可愛らしいものから早々に売り切れてゆき、夕方頃に行くと、茶色や白など地味なものが売れ残っていることが多いですね。
この「梅暦」なんかは午前中に売り切れそうなくらい素敵な薄紅色です。