「干支菓 午(かんしか うま)」薯蕷製:鶴屋八幡
黄色に染めた薯蕷生地でこし餡を包み楕円形に丸め、蒸し上げた後、焼印を押したお菓子です。
このお菓子、菓銘によると、今年の干支つまり、午(馬)にちなんだものです。
午(うま)にちなんだ上生菓子は今までに17種類集めました。
その意匠としては、「午」や「馬」の漢字をそのままデザインしたもの、絵で馬の姿を表現したもの、馬の形を彫像のように立体的に写したものなどがほとんどです。
ところが、この鶴屋八幡の干支菓子は、そのどれにもあてはまらない。漢字の「甲」にそっくりな図柄の焼印が押してありますが、この焼印が午(馬)とどう関係するのかわかりません。
「甲」は象形文字ですが、その原型は「亀の甲羅の腹側」だということで、午(馬)とは関係なさそうですね。
2014年の干支は、正式には「甲午」(きのえうま)なので、甲午の甲に由来するものなのでしょうか?
もう一度、この焼印をよく見ると、「甲」の下に突き出た縦棒の下端に小さな輪が付いています。
何かの道具のようにも見えます。ぱっと思いついたのが、蝿たたき(笑)。でも、上生の素材としてありえません。
この輪の中に綱や紐を通して使う道具のようにもみえますが、何の道具なのかは見当がつきません。
このお菓子を買って2週間くらい経ち、すっかり煮詰まってしまっていた頃、桐をモチーフにした家紋をいろいろ調べていて、偶然にこの焼印の形にそっくりな家紋を見つけたのです!
(家紋オンラインからお借りしました。)
「中陰五三桐に轡」という難解な名前の家紋で、桐の花と葉っぱに轡(くつわ)が合体した家紋です。
この轡というのは、馬の口に含ませ、手綱をつけるための金具のこと。
これで、やっと馬とつながりました!!
轡の端に手綱を引く環状の金具があり、実際のものはこんな形をしているそうです。
(この写真はAntiques 神山のブログからお借りしました。)
ああ、これで、すっきりした!