「福駒(ふくこま)」桃山製:とらや
縁起の良い仔馬を桃山製でかたどった、新春にふさわしい意匠。
桃山(ももやま)とは、白餡に卵黄、寒梅粉、水飴などを入れて練った生地で餡を包み、形作りして焼いたお菓子。
表面に塗ったみりんの風味や口の中に入れたときのホロホロとくずれる生地の食感、卵ならではの暖かみのある黄色い発色が桃山の特徴。
桃山の由来は、いまだはっきりとはわかっていないそうだ。中山圭子著『事典・和菓子の世界』(岩波書店)によると、元来は「瓦糕(がこう)」といったものを、桃山御殿(豊臣秀吉が京都伏見に築いた伏見城のこと)の瓦の形を印したので、桃山と呼ぶようになったという。しかし「瓦糕」についての詳細は不明である。
「駒」とは馬の子、または小さい馬という意味。
生まれたての子馬は生後一時間ほどでしっかりと立ち上がり、すぐに駆けることができるようになることから、『立ち上がりが早い』、『立身出世の象徴』ともいわれている。
また、午(うま)つまり、馬は『ものごとが “うま” くいく』『幸福が駆け込んでくる』などといわれる縁起のいい動物である。