今日は、「まゆ最中」で有名な自由が丘の「蜂の家(はちのや)」さんを紹介します。
ところで、このお店のユニークな名前は何に由来するのか前から気になっていました。
蜂蜜屋さんならこの店名もありですが、和菓子屋さんでなぜ蜂なんだろう?
蜂蜜を使って作った人気商品があるわけでもなく、ホームページ上にヒントがないか調べてみましたが手掛かりは無し。
ある日見つけた、「自由が丘の逸品」というサイトの中で蜂の家さんを紹介する記事があり、「戦後の物資不足の折り、砂糖が手に入らない時期でも、蜂蜜を使って和菓子を作り続けた」というくだりがあり、このエピソードから名づけられたのかもと、独自に解釈していました。
ところが、今日お店で店員さんに聞いてみると、ぜんぜん由来が違っていたのです。
実は、昔ここのオーナーがまだ貿易関係の仕事をしていた頃、大親友がやっていた「蜂の巣」というお店が大繁盛で、もし自分が新しいお店を出すとしたら、それにあやかり、「蜂の巣」と命名しようと思っていたというのです。そしていよいよ和菓子店を始めるにあたって、虫の「巣」よりも人の「家」にした方がよりしっくりくるとのことで、「蜂の家」になったということなのです。
まるでたくさんの蜂が一斉に巣に帰ってくるように、また、たくさんの蜂が花に群がってくるように、お客さんにいっぱい来てもらいたいとの願いがこもっているそうです。
さて、上生菓子ですが、ひとつひとつ手作りのため、同じ菓銘、同じ意匠のものでも、微妙に表情に違いがあることを知っていただくために、日にちを変えて2回購入してみました。 (ちなみに上が11月11日、下が11月29日に買ったものです)
「柚子衣(ゆずごろも)」煉切製
緑色の部分のぼかし方が全く異なるし、葉っぱの形、質感、茶巾絞りのひだの様子もかなり違いがあります。
「山茶花(さざんか)」煉切製
これは、まるで双子のようにほとんど同じといっていいでしょう。強いてあげるなら、花粉の付き方が下の方が整然ときれいに付いています。
「初霜(はつしも)」きんとん製
きんとん製はその構造上同じものを作ることはまったく不可能です。よりバラエティーにとんだ表情が楽しめますね。
「織部(おりべ)」求肥製
普通、織部といえば、薯蕷製ですが、蜂の家さんのは珍しく求肥製で、とてもユニーク。井桁の焼印の位置・形も、緑色のにおい(色差し)の位置・形も微妙に表情が違います。