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菊の露(福壽堂秀信)

「菊の露(きくのつゆ)」きんとん製:福壽堂秀信 

 

黄色く染めたきんとんに透明な錦玉を小さくさいの目に切って散らし、菊の上に結ばれた露をみずみずしく表現したお菓子です。

 

中国では、菊は観賞用というより、薬効のある植物とされていました。

 

菊の群生する谷を下ってきた水を飲んで長寿を得たという「菊水伝説」や、菊の露を飲み七百年もの長寿を保ったという「菊慈童(きくじどう)」の故事など、菊は不老長寿の仙薬とされていました。菊慈童の故事は日本でも能や歌舞伎の演目になっていますね。

 

周の穆王より枕を賜った美少年が、そこに書かれた法華経の句を菊の葉に書いたところ、その葉より滴る水が不老長寿の薬となり、永遠の命を授かったという物語です。

 

一個の小さなお菓子の背景にこのような深い内容があって、それを菓銘や形から読み解いて行くのも上生菓子の大きな楽しみのひとつですね。